子どもがいない夫婦ならではのメリットをしっかり実感することが大切だね
データをもとに具体的な数字として考えてみよう
このブログ記事にたどり着いて頂きありがとうございます。
「途次大志の備忘録」の執筆者で小学校の修学旅行は伊勢だった途次大志(toji-taishi)です。
子なし夫婦の人生を歩む上で伊勢の夫婦岩を思い出すと励まされる思いになります。
私たち夫婦も結婚して20年以上が経つ子なし夫婦ですが、ああやってどんな荒波が来ようとも夫婦二人で手をつないで自分たちらしく人生を過ごしたいものです。
- 子なし夫婦のメリットを数字として理解する
- 少なく見積もっても2,000万円の余裕
- 1年間分の大人の時間を持てる
これまで、この「途次大志の備忘録」のブログ記事として子なし夫婦の離婚についてもデータをもとに考えてみました。
子なし夫婦と子あり夫婦の年間の離婚件数は1対1.5で、子なし夫婦である割合が6%程度と低いことを考えると子なし夫婦の離婚率は高いということが言えるでしょう。ただもう少し慎重にデータを見てみる必要がありそうです。
子どもがいない夫婦が幸せに暮らしていくために子なし夫婦のメリットについても別の記事で考えてみました。
- 経済面
- 時間面
- 肉体面
- 精神面
今回のこの記事はメリットをより深く自覚するために公的なデータを眺めながら数値として把握することで子なし夫婦のメリットを実感できればと思っています。
子なし夫婦のメリットである経済面
まず子なし夫婦のメリットのうち経済的な側面についてデータを探っていきましょう。
高い教育思考
国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」の中に「自分の子どもにどれくらいの教育を受けさせたいか?」を夫婦の妻に調査した結果があります。
この場合の夫婦は「子どもがいない夫婦」だけでなく「子どもがいる夫婦」も含まれています。
「含まれている」というよりも、これまでの記事でもご紹介してきた通り「子どもがいない夫婦」が増えてきているとはいえ全体の夫婦の中での割合としてはわずか6%程度なので、ほぼほぼ「子どもがいる夫婦」の妻の回答と考えて良いでしょう。
男児女児問わず大学以上の高い教育を受けさせたいと夫婦の妻が感じているようです。
この結果は多くの人が実感として納得するものでしょう。
実際に我が子がその道を選ぶかは本人たち次第でしょうが、我が子に高い教育を受けさせたいと思う妻の心境が数字として表れているように思います。
改めて数字として知ることで母親の我が子への想いが強く実感できますね。
大学以上:男児76.8%・女児59.2%
短大・高専:男児1.2%・女児10.6%
専門学校:男児5.8%・女児10.5%
高校中学:男児7.8%・女児9.3%
教育費のリアル
高い水準の教育を子どもに受けさせるために幼稚園から大学卒業までにいったいどれくらいのお金が必要なのでしょうか。
テレビやインターネットのニュースでもたまに見かけると思いますが具体的な金額がすぐに思い浮かぶでしょうか。
幼稚園から私立に進むか公立に進むかで全体の教育費は変わります。
幼稚園、小学校、中学校、高校、大学を私立か公立(国立大)にするかによって異なるそれぞれの教育費を文部科学省の白書を参考にしてみましょう。
公立(国立大学) | 私立 | |
幼稚園 | 669,925円 | 1,625,592円 |
小学校 | 1,845,467円 | 8,362,451円 |
中学校 | 1,443,927円 | 3,709,312円 |
高校 | 1,545,853円 | 2,929,077円 |
大学 | 4,366,400円 | 6,239,600円 |
合計 | 9,871,572円 | 22,866,032円 |
大学(国立と私立)の場合は実家通いと下宿通いで大きな費用の開きがありますが平均値を適用しています。
幼稚園から高校までを公立に進み、大学を国立大学に進んだ場合が9,871,572円です。
幼稚園から中学校までを公立に進み、高校と大学を私立に進んだ場合は13,127,996円で、幼稚園から大学まで私立に進むと22,866,032円になります。
公立から国立大学のコースを辿ったとしても子ども1人に1,000万円近くの教育費が必要で親元から離れた大学進学の場合は下宿代などで更にお金が掛かります。
経済面のメリット
少子化傾向とはいえ下記に示す通り、結婚15年から19年の夫婦の平均的な子どもの数は2人弱です。
1997年:2.21人
2002年:2.23人
2005年:2.09人
2010年:1.96人
2015年:1.94人
子ども1人当たりの教育費として1,000万円から2,000万円のお金が必要で、子どもが2人いる夫婦の場合には2倍の2,000万円から4,000万円の教育費を準備しておく必要があることになります。
この教育費には学習塾や書籍代、通学費、制服などの費用は含まれていないためさらに必要になるでしょう。
子どもがいない夫婦はこの教育費だけを考えても経済面の負荷は少ないことが具体的な金額という数字とともに実感できるのではないでしょうか。
もちろん子育て支援が受けられないなどの税制的に不利な面が子どもがいない夫婦にはあるとはいえ、経済面で子なし夫婦のメリットがあると言えるでしょう。
子なし夫婦のメリットである時間面
次に子なし夫婦の時間面でのメリットをデータとともに考えていきましょう。
世界の育児状況
日々の子育てに夫と妻はどれくらいの時間を費やすのでしょうか。
夫婦によって子育てに関わる時間が異なることを想定して日本だけではなく世界の6歳未満の子どもを持つ夫と妻がそれぞれ子育てに費やす時間を比較しながら考えてきます。
日本の男性にとってはあまり見たくないデータかもしれませんが日本での夫と妻の育児への関わり方が浮き彫りになっています。
日本:夫49分・妻225分
アメリカ:夫80分・妻138分
イギリス:夫60分・妻142分
フランス:夫40分・妻117分
ドイツ:夫59分・妻138分
スウェーデン:夫67分・妻130分
ノルウェー:夫73分・妻137分
私も男性なので少し日本の夫に対して優しい目でデータを眺めると日本の夫の育児に関わる時間の低さよりも日本の妻が世界的に見ても多くの時間を費やしていると受け取ることができるでしょう。
まさに「ニッポンのおかあちゃん」という言葉にふさわしく日本の妻は育児に時間と愛情をたっぷりと注ぎ込んでいるのでしょう。
育児時間のリアル
夫にせよ妻にせよ育児に携わっている時間は言い換えれば「夫婦二人だけの時間ではない」ということです。
そこで先ほどの夫、妻それぞれの育児に関わっている1日当たりの時間を足し合わせてみましょう。
日本:274分(4時間34分)
アメリカ:218分(3時間38分)
イギリス:202分(3時間22分)
フランス:157分(2時間37分)
ドイツ:197分(3時間17分)
スウェーデン:197分(3時間17分)
ノルウェー:210分(3時間30分)
日本の夫婦の場合、1日当たり4時間以上を育児に関わっていることになります。
確かに日本は世界の中でも育児に関わる時間が長いですが、この中で一番低いフランスでも1日当たり2時間以上でおおよそ3時間程度を育児に関わっているようです。
確認のため繰り返しますが1日当たりの育児に夫婦が関わる時間が日本では4時間以上、いろいろな価値観や風習が異なるであろう世界的に見ても3時間程度を費やすということです。
これらの調査結果は6歳未満の子どもをもつ夫と妻を対象としたデータです。
子どもが6歳になるまでの間、日本では4時間x365日x6年間で8,760時間を育児に夫婦が関わるという計算になります。
なお8,760時間はちょうど365日つまり1年という時間に相当します。
言い換えれば、育児に関わっている間の「1年間(365日x24時間)は夫婦二人だけの時間を過ごせない」ということができるかもしれません。
育児は6歳までで終了するわけではないため夫婦が二人だけでゆっくりと大人の時間を過ごす時間はさらに減ることになります。
時間面のメリット
育児による少なく見積もって1年間の空白の時間自体が子どものいない夫婦では存在せず、すべての時間を大人の時間として過ごすことができることは子なし夫婦のメリットと考えることができるでしょう。
子どものいる夫婦では経済面での負担と時間面の負担があり、これらは肉体的、精神的な負担になることは容易に想像ができるでしょう。
残念なデータですが各種報道でも耳にする通り、児童虐待の相談対応件数も増加しています。
児童相談所自体の認知が広がったことで相談対応件数が増えていることも推測できますが、少なくとも子どもを持つ夫婦は子なし夫婦には想像がつかない不安を抱えているのでしょう。
この「途次大志の備忘録」の記事でもご紹介しましたが、子どもが家族の中にいることで得られる恩恵のようなものが存在するとは思いますが、子どもがいない夫婦と対比して考えてみると子なし夫婦のメリットもそれはそれで存在していると思えてきます。
まとめ
子どもがいないことで離婚を考える夫婦もあるかもしれません、つらい不妊治療を経てもコウノトリがやってきてくれなかった夫婦もいるかもしれません。
ネガティブに考えずに子なし夫婦だからこそのメリットをデータからの数字とともに理解した上で、伊勢の夫婦岩のようにたたずみ続けることも素敵な人生のように思います。
子どものいる夫婦に比べ、子なし夫婦には少なく見積もっても「2,000万円以上のお金」と「1年間(365日x24時間)の大人の時間」という余裕があるのですから。
最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。これからも良質な情報をお届けできるよう精進いたします。今後とも「途次大志の備忘録」をお引き立ての程、よろしくお願い致します。 途次大志