自分で体験してみないとわからないものだね
法務局での相続登記はなかなか大変だったみたいだね
このブログ記事にたどり着いて頂きありがとうございます。
「途次大志の備忘録」の執筆者の途次大志(toji-taishi)です。
自分が何の力にもなれない状態で、親愛なる近しい人達に迷惑を掛けたくはないものですよね。
自分があの世へ逝ってしまったら、残された人を助けたくても助けてあげることは叶いません。
相続手続きが何かと大変だろうということは耳にしてきましたが、なかなか実際に体験してみないと、自分の財産の相続のことまで手を付ける気にはならないものです。
姉と、弟である私が実家を離れ、両親だけで住み続けてきた実家を、父の他界に伴い、残された母への相続登記を自力で取り組み、いかに大変な作業であることかを実感しました。
残された者(パートナー、姪や甥など)の負担を減らすためにも不動産の所有には一考を!
子なし夫婦だからこそ相続登記の大変さを知っておいた方が良い
私たち夫婦は結婚して20年以上の子なし夫婦ですが、もしどちらかが先に旅立てば、残された者が失意の中で、この大変な不動産の相続手続きを行わないといけないのかと想像すると、別荘やセカンドハウスはおろか、何なら今の持ち家を手放して、将来は賃貸住宅に住むという選択肢も考えた方が良いのかな?とさえ考えるようになりました。
自分のパートナーにこの手続を行わせるのは、百歩譲ってやむを得ないとしても、実の子どもではない姪や甥に相続登記という宿題を残してしまうことは非常に申し訳なく感じます。
我が子に恵まれなかった子なし夫婦だからこそ、自分の財産の相続についても注意を払っておくべきなのかもしれません。
相続登記に必要な書類
法務局の公式サイトで紹介されている「不動産の所有者が亡くなった場合の所有権の移転登記」でも説明されている通り、相続登記の手続きは財産の分け方によっても必要な書類が異なってくるようです。
私たちの場合、遺言書を残すことなく父が他界し、なるべく多くの財産を母に相続させたいという思いから、法で定められた割合による相続分割(法定相続)ではなく、母と姉と弟である私の三人の全法定相続人によって相続する割合を決定する「遺産分割協議」に則って父の遺産を相続することにしました。
不動産(実家)の相続人を母のみとした遺産分割協議による相続登記に必要な書類等が下記です。
ひとつひとつ読むだけでも疲れそうですが、ざっとこんな感じです。
- 被相続人(亡父)の戸籍謄本(出生〜死亡)の取得
- 被相続人(亡父)の除籍謄本の取得
- 全法定相続人の戸籍謄本(被相続人死亡日以降)の取得
- 不動産の相続人(母)の住民票の取得
- 全法定相続人の印鑑登録証明書の取得
- 全法定相続人の実印の準備
- 申請人(母)の認印
- 固定資産評価証明書(土地・建物)の取得
- 登記事項証明書(土地・建物)の取得
- 遺産分割協議書(全法定相続人の実印の押印)の作成
- 相続関係説明図の作成
- 登記申請書(申請人の認印の押印)
- 登記申請書用の白紙1枚(申請人の認印の契印)
東京と横浜にそれぞれ暮らす姉と私に比べれば、大阪の相続する実家に住む母が相続登記を執り行う方が何かと効率的なのですが、悲しみの深い湖の底に沈む母の様子を見ていると、申請人は母のままで実務を私が執り行う決心がつきました。
外部サービスへ委託するという選択肢もありますが、知り合いでも居ない限り、いざ最良な委託先を探すのも、それはそれで時間と労力の掛かりますし、子どもがいない身として、姪や甥のためにも相続登記の実際を経験しておきたかったという思惑もありました。
相続登記の大まかな流れ
大阪の実家を母のみに相続する場合、ご紹介した書類や印鑑等が必要になりますが、もし不動産を母のみではなく姉や私たちも相続するとなれば必要な書類等も異なってきます。
最初にしっかりと済ませておかなければならないのは、預貯金なども含めた財産を「誰にどのように分割するか」を全ての法定相続人である母と姉と弟である私の3人でしっかりと決定しておかないといけない!いうことです。
この3人が決定した分割方法により、必要な書類等も異なり、相続の登記完了までの流れも変わってくるので慎重に進めなければなりません。
不動産を母にのみ相続すると決定が下されたなら、次に戸籍謄本等の公的書類の取得を進めます。
順序的には、収集した公的書類の記載事項を元に登記申請書等の書類作成に進むので、この順序が望ましいと経験的に感じています。
必要書類の作成方法についての「様式」や「記載例」は、参考文献でご紹介している法務省の公式サイト「不動産の所有者が亡くなった」を参考にすることができますので助かります。
公的書類を収集し、必要な書類を作成したら、実印や認印を押印する前に近くの法務局の相談窓口で書類一式の事前確認をすると安心できます。
詳細な相続登記の手順については下記の記事「【体験談】法務局に通い不動産相続登記の申請手続きを自力で行う手順」をご参照ください。
法務局での相談が肝?!
法務局で必要書類一式の事前確認の相談を行う場合、事前に予約が必要で、さらに数週間先まで予約が取れないことがあります。
しかも、やっと予約が取れて法務局に足を運んでも、相談時間は「30分」と限られており、30分を超えると、相談内容が途中でも「改めて予約を取り直して相談に来てください」と平然と言われてしまいます。
仕事を抱えながら日常の忙しさをやりくりして、公的書類を集め、聞き慣れない用語がたくさんの必要書類をパソコンでコツコツと作成し、やっと予約が取れた平日に法務局を訪問して相談途中の30分で追い返されてしまうのは利用者としては不便極まりない状態です。
それでも近くの法務局で事前に書類一式の確認をしておく必要性は感じており、私の場合もいくつかの書類の不備を指摘され、最終的に完成書類へと近づけることができました。
同様の経験をした友人たちによると相続登記で「最低4回は法務局を往復する」と言われているらしく、素人が初めて臨む場合は、それくらいの覚悟と準備が必要なのが残念ながらの現実のようです。
横浜で暮らして実家が大阪にある私の場合は、実印や認印の押印前の書類の事前確認を横浜の法務局で行い、実際に相続する実家(不動産)を管轄する大阪の法務局で提出する前に書類一式を最終確認するようにしました。
どうやら「ローカルルール」というのも謎のルールが存在するらしく、最終的には相続する不動産を管轄する法務局の相談窓口で書類一式の確認をすることがより安全策だと横浜の法務局の相談窓口にもアドバイスされました。
なお、法務局の相談窓口の相談予約制の実施と予約取りの困難さは、横浜も大阪も同様で、書類一式の提出するまでに多くの時間と労力が奪われてしまうのが現実のようでした。
まとめ
父から母への実家の相続登記を実際に自力で行ってみて、必要書類の多さと書類作成の面倒さに加え、法務局への提出前に書類一式の確認のために相談窓口を訪れることが必要であることが経験を通じて理解できました。
もし私たちに子どもがいて、育児を抱えている状態であれば、さらに自力での相続登記の完了は難しかったことでしょう。
参考文献の「子なし夫婦が暇になる要因と暇の楽しみ方を探ってみよう!」でご紹介している通り、妻の1日の育児時間は3時間以上で、これほど複雑で手間の掛かる相続登記をする集中力を保つだけでも大変なことだろうと想像します。
横浜と大阪で遠方であったために、さらに大変だったのかもしれませんが、それでも、時間的にも精神的にも余裕がある子なし夫婦だったからこそ取り組むことができたように思います。
姪や甥には、このような大変な思いをさせたくはないものです。
改めて、子なし夫婦の不動産相続の教訓として「残された者(パートナー、姪や甥など)の負担を減らすためにも不動産の所有には一考を!」
参考文献
最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。これからも良質な情報をお届けできるよう精進いたします。今後とも「途次大志の備忘録」をお引き立ての程、よろしくお願い致します。 途次大志