子どものいない夫婦の離婚率ってやっぱり高いのかな?
妻の年代によって一概に言えないみたいだよ
こんな人にオススメ
- 子どものいない夫婦の人
- 離婚を少し考えている人
- 子なし夫婦のまま歩みたい人
このブログ記事にたどり着いて頂きありがとうございます。「途次大志の備忘録」の執筆者で家事って大変だなとつくづく感じる途次大志(toji-taishi)です。一度きりの人生だからこそ「悔いのない人生」を歩みたいものです。子どもがいない夫婦もしくは子どもがすでに成人した夫婦で離婚を考えていらっしゃる方でも「離婚しない方がなにかと良いだろうな」とは思いながらも「とはいえ一度きりの人生だもんな」という考えの狭間で思い悩まれているのではないでしょうか。
きっと大切なことは「自分の頭で考え、夫婦で話し合って、互いが納得のいく結論を導き出す」ことなのだろうと思います。最初の段階の「考える」ための参考として「子どもがいない夫婦の離婚率」についてまとめてみました。考えていく中で子なし夫婦の私なりに下記のような考察を得ています。
- 統計データを元に子なし夫婦の離婚率について考える
- 20代では「子なし夫婦の離婚率は高い」はウソ
- 30代、40代では「子なし夫婦の離婚率は高い」はホント
子なし夫婦の離婚率は高い?
「子は鎹(かすがい)」と言われるように子どもがいない状態で良好な夫婦関係を続けていくのは簡単なことではなく、子なし夫婦の離婚率はやはり高いのでしょうか。
子なし夫婦の離婚率は高いはウソなのか?
国勢調査と厚生労働省のデータをもとに見ていきましょう。
- 子あり夫婦の離婚:57%(143,834組)
- 子なし夫婦の離婚:43%(107,302組)
真ん中の「B」の円グラフが示す通り、子あり夫婦の離婚件数は子なし夫婦の離婚件数よりも多いです。このデータは厚生労働省の「表3 親権を行わなければならない子の有無別及び夫妻の国籍別にみた届出月別離婚件数及び構成割合 -平成20年-」を参考にしています。ただこれだけでは子なし夫婦の離婚率が高いということがウソだと判断するには不十分な気がします。左の「A」の円グラフと先程の真ん中の「B」の円グラフを見比べてみます。
- 子あり夫婦の世帯:57%(14,288千世帯)
- 子なし夫婦の世帯:43%(10,718千世帯)
左の「A」の円グラフは国勢調査の「H27世帯構造等基本集計結果 表I-1」を参考にしたもので、子なし夫婦の世帯の割合が43%です。子なし夫婦の世帯が43%(A)で、子なし離婚率も43%(B)ということは、子どもがいるかいないに関係なく夫婦はある一定の割合で離婚するということになりそうです。つまり子あり夫婦に比べて子なし夫婦の離婚率が高いというのはウソのような気がしてきます。
子なし夫婦の離婚率は高いはホントなのか?
今度は先程の図1の真ん中の「B」と右側の「C」の円グラフを見比べてみましょう。
- 結婚15〜19年の子あり夫婦:93.8%
- 結婚15〜19年の子なし夫婦: 6.2%
右側の「C」の円グラフは国立社会保障・人口問題研究所の「第15回出生動向基本調査 図表II-2-2」を参考にしています。結婚して15年から19年の夫婦を対象に子どもがいるかいないかを調べた結果、子どもがいない夫婦はわずか6%程度であること示されました。
夫婦全体の数のうち、結婚して15年から19年の子なし夫婦はわずか6%の割合でしかいないことに対して、「B」で示されている通り、子なし夫婦の離婚の件数の割合は子あり夫婦とそこまで大きな差がない(子なり夫婦57%:子なし夫婦43%)ということになります。つまりこの「B」と「C」を見比べると、やはり子なし夫婦の離婚率は高いということがホントということになりそうです。
データを見比べた結果
子なし夫婦の離婚率が高いということがウソだとを示すデータとホントだと示すデータの2つの異なるデータが存在するように感じます。そこで他のデータを見比べて、私なりの解釈に至り、その考察過程を以下に項に示しています。結論からお伝えすると「20代の子なし夫婦の離婚率が高いとは言えない」一方で、「30代と40代の子なし夫婦の離婚率が高い」と言えるのではないかということです。
もう少し割り切って表現すると、子なし夫婦の離婚率が高いというは20代ではウソで、30代と40代ではホントだろうということです。以降、いくつかのデータをお示ししていますが、結論に近いデータだけをご覧になりたい方はスクロールして頂き、図7の「子なし夫婦と離婚率の関係」だけを御覧ください。
国勢調査の結果
子どもと同居しているか同居していないかを妻の年齢別に調査した国勢調査の結果です。
子どもと非同居家庭
- 20代:同居(972千人)・非同居(614千人)
- 30代:同居(4,559千人)・非同居(1,207千人)
- 40代:同居(5,148千人)・非同居(985千人)
- 50代:同居(4,180千人)・非同居(2,231千人)
- 60代:同居(3,012千人)・非同居(3,888千人)
- 70代:同居(1,513千人)・非同居(2,419千人)
2010年の国勢調査の結果を参考にすると、子どもと同居している状況が過半数を上回っているのは20代から50代までです。一方で60代以降は子どもと同居している状況が過半数を下回っているのが見て取れます。
- 20代:同居61%・非同居39%
- 30代:同居79%・非同居21%
- 40代:同居84%・非同居16%
- 50代:同居65%・非同居35%
- 60代:同居44%・非同居56%
- 70代:同居38%・非同居62%
妻の年齢が60際以降では子どもも親権を離れ、子どもが独立していったということでしょう。この傾向は妻の年齢が50代から非同居の割合が増え始めていることからも想像できます。言い換えると30代と40代では8割り程度が子どもと同居している妻であることが示されています。
子なし夫婦は少数派
先程の図2は2010年のデータでしたが5年後の2015年になれば変化が見られるのでしょうか。
- 20代:同居59%・非同居41%
- 30代:同居79%・非同居21%
- 40代:同居83%・非同居17%
- 50代:同居65%・非同居35%
- 60代:同居42%・非同居58%
- 70代:同居37%・非同居63%
2010年も2015年も大きな変化は見られないように思います。
40代の妻
図2の2010年の結果と図3の2015年の結果から子どもと同居していない妻の割合を抽出してみました。
- 20代:39%(2010年)・41%(2015年)
- 30代:21%(2010年)・21%(2015年)
- 40代:16%(2010年)・17%(2015年)
- 50代:35%(2010年)・35%(2015年)
- 60代:56%(2010年)・58%(2015年)
- 70代:62%(2010年)・63%(2015年)
40代に注目すると、子どもと同居していない妻は15%強です。同年代(40代)の8割以上が子どもと同居している妻に囲まれながら、子どもと同居していない妻が過ごしていることがうかがえます。一度きりのそれぞれの人生なので周りと比べる必要はないと考えていても、日々、子どもがいる同年代の人たちを見る機会があればいろいろと考えてしまうのも当然かもしれません。40代の妻の少数派である環境は30代から徐々に始まっているのも想像できます。
60代以降になれば子どもと同居せず二人だけ暮らす夫婦も過半数を上回ってきます。ただ子どもがいない夫婦にとっては帰省で実家に帰ってきてくれる子どもがいない状況は変わりません。さらに言えば実の孫をもつという可能性すらありません。子どもと同居していない妻の夫婦の割合が「20代では40%程度」、「30代で20%程度」、「40代で15%程度」ということを少し記憶に留めながら読み進めてみてください。
親権の有り無しの離婚
親権とは「20歳未満の養育する必要のある子ども」と定義され、該当する子どもがいるかいないかが親権のあるなしということです。平たく言うと、年齢的に世話しないといけない子どもがいるかということでしょう。
30代の離婚件数が多い
離婚において親権がある状態か、親権がない状態だったかの件数を妻の年代別に厚生労働省のデータを参考にしています。このデータを見て一番に感じるのは親権の有無に関わらず30代の離婚件数が多いということです。一度きりの人生を考えると30代に決断をする人が多いのでしょう。
親権の無い離婚割合
先程の図5から各年代の親権のない夫婦の離婚の割合を示しています。
- 20代:35%
- 30代:36%
- 40代:34%
- 50代:82%
- 60代:99%
- 70代:100%
50代以降から親権のない夫婦の離婚の割合が増えており、育てるべき子どもの存在が離婚を決意する上で影響していることが推測できそうです。20代から30代を見るといずれも35%程度であることがわかります。ここで先にご紹介した図4の「子どもと非同居の妻割合」の子どもと同居していない妻の夫婦の割合が20代では40%程度、30代で20%程度、40代で15%程度と合わせて考えると何か見えてこないでしょうか。
子なし夫婦と離婚率の関係
図4の「子どもと非同居の妻割合」では各年代で子どもと同居していない妻の割合を示しました。そこに図6の「親権の無い夫婦の離婚割合」の育てるべき子どもがいいない状態での離婚の割合を重ねたのが図7の「子なし夫婦と離婚率の関係」です。
- 20代:子ども非同居39%・親権無し離婚35%
- 30代:子ども非同居21%・親権無し離婚36%
- 40代:子ども非同居16%・親権無し離婚34%
- 50代:子ども非同居35%・親権無し離婚82%
まず20代に着目してみましょう。子どもと同居していない20代の妻の割合と20代の親権のない妻の離婚の割合はそれぞれ39%と35%で同程度と言えるでしょう。つまり20代では、子どもがいない妻の割合と育てるべき子どもがいない状態での離婚の割合が同程度ということは、子どもがいるかいないかが離婚率には大きく影響していないということが推測できます。20代では子なし夫婦の離婚率が高いということはウソだと考えられます。
一方で、30代と40代を見ると、子どもと同居していない妻の割合と親権のない妻の割合には10%以上のギャップが生じています。子どもがいない妻(夫婦)の存在に比べて、子育てが不要な夫婦の離婚の割合が大きいということは、子どもの存在が離婚に影響していると推測できます。30代、40代では、子なし夫婦の離婚率が高いということがホントだと言えそうです。
50代ではギャップはさらに広がっていますが、子どもが成人し親権がなくなった場合も考えられ、このデータだけでは30代、40代と同様の推測は難しいように思います。
まとめ
年齢によって子なし夫婦の離婚率が高いかどうかというのは異なることが推測できました。
- 統計データを元に子なし夫婦の離婚率について考える
- 20代では「子なし夫婦の離婚率は高い」はウソ
- 30代、40代では「子なし夫婦の離婚率は高い」はホント
またこれらは単なるデータであり、考察した内容も単なる他人の結果であることを理解しておいたほうが良さそうです。一度きりの人生です。夫婦の形は夫婦それぞれで良いと思います。他人に迷惑を掛けない程度で夫婦それぞれの形を築いていければよいのだと思います。
私達夫婦も結婚して15年の子なし夫婦です。将来、後悔しないためにも、周りのことはひとつの参考程度に捉えて、自分の頭でしっかりと考えて、夫婦で話し合って結論を出していくことが大事なように感じています。
最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。これからも良質な情報をお届けできるよう精進いたします。今後とも「途次大志の備忘録」をお引き立ての程、よろしくお願い致します。 途次大志