大変な不妊治療を続けているとネガティブになっちゃうよね
もしかして「結婚前」に原因があるのかも?って考えちゃうよね
このブログ記事にたどり着いて頂きありがとうございます。
「途次大志の備忘録」の執筆者の途次大志(toji-taishi)です。
不妊治療を長く続けていると「なぜ自分たちには授からないんだろう?」「これまでの人生で何が悪かったのだろう?」と自分たちの悪いところ探しをしてしまうかもしれません。
過去を振り返らずに前だけを向いて、顔を上げて未来に進んでいきたいものですね。
もし、感情が走ってしまって、関係のないことまで授からない要因として後ろ向きに考えてしまう時こそ、客観的なデータを眺めて、大きく深呼吸してみてはいかがでしょうか。
女性にとって不妊治療は、きっと「男性が想像もつかない大変なことがあるんだろうな」と、今頃になって私たちが不妊治療をしていた頃の妻のことを考えます。
あ、こう書くとなんか妻がいなくなってしまったようですが、ご安心ください、立派(?)に20年以上の子なし夫婦の生活を妻と過ごしています。
あなたは「お見合い結婚」ですか?
それとも「恋愛結婚」ですか?
結婚前にまで不妊の原因を探ってしまう子なし夫婦
不妊治療に限らず、思う通りの結果を得られず自信を喪失して仕舞っている時は、人は直接なんの関係もなさそうなことまで「うまく進まない要因なのでは?」と考えてしまいがちです。
そんな一見、なんの関係性もないことが「要因ではない」と納得するためにも客観的なデータで確認するとすぐに理解できるものです。
あなたは「お見合い結婚」ですか?
それとも「恋愛結婚」ですか?
恋愛結婚だから子どもを授からない?
多くの人が「恋愛結婚」と答えるでしょう。
「出生動向基本調査」のデータを見れば8割程度の人が「恋愛結婚」で結ばれたことがわります。
ご想像の通り、昔は「お見合い結婚」の方が多く、1940年では約7割の夫婦がお見合い結婚で結ばれていました。
徐々にお見合い結婚が減少し、1967年のデータでは恋愛結婚がついにお見合い結婚を上回り、その後は恋愛結婚が主流となっていきました。
「お見合い結婚」の減少に沿うように、出生児数が減少していきます。
逆の言い方をすると、恋愛結婚が増加し生まれる子どもの数が減っていったとも解釈できそうです。
1940年
お見合い結婚:69.0%
恋愛結婚:13.4%
出生児数:4.27人
1952年
お見合い結婚:53.9%
恋愛結婚:33.1%
出生児数:3.50人
1962年
お見合い結婚:49.8%
恋愛結婚:41.1%
出生児数:2.83人
1967年
お見合い結婚:44.9%
恋愛結婚:48.7%
出生児数:2.65人
1987年
お見合い結婚:17.7%
恋愛結婚:80.2%
出生児数:2.19人
1940年
お見合い結婚:5.3%
恋愛結婚:87.9%
出生児数:1.94人
参考:国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」
以前、ご紹介した記事「子なし夫婦の不妊治療・東京を離れて母親と同居の方が生まれやすい?」でご紹介したように「人の少ない場所に住む」「どちらかの母親と同居する」ことで生まれる子どもの数が増えていたように、お見合い結婚ではなく「恋愛結婚で結ばれたばっかりに子どもを授からないのでは?」と考えてしまいたくなりそうです。
つまり大変な不妊治療を続ける運命は、すでに「結婚前」に要因があったのか?と。
お見合い結婚と恋愛結婚の出生児数
大丈夫ですよ、安心してください。
お見合い結婚か恋愛結婚かの「結婚前」に要因はなさそうです。
「出生動向基本調査」にはちゃんと応えてくれるデータが存在していました。
お見合い結婚をした夫婦と恋愛結婚をした夫婦の授かった子どもの数を比べてくれています。
1977年
お見合い結婚:2.21人
恋愛結婚:2.17人
1987年
お見合い結婚:2.19人
恋愛結婚:2.20人
1997年
お見合い結婚:2.25人
恋愛結婚:2.20人
2005年
お見合い結婚:1.99人
恋愛結婚:2.11人
2015年
お見合い結婚:1.85人
恋愛結婚:1.95人
参考:国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」
お見合い結婚と恋愛結婚では概ね違いはないように解釈できそうです。
1977年と1997年はお見合い結婚の夫婦の方が出生児数が多いですが、1987年、2005年、2015年は恋愛結婚の夫婦の方が多くの子どもを授かっています。
「なーんだ」と思われるかもしれませんが、ネガティブになっている時は、無意識のうちにネガティブな情報ばかりを集めてしまい、さらにネガティブになっていくという「負のスパイラル」が発生してしまうことがあります。
特に我が身に子どもを身ごもる女性は、不妊治療で大変な思いを続けていることでしょう。
そんな時は、パートナーの力を借りて、リラックスして冷静に考えてみると、後ろ向きにならず前をしっかりと見据えるようになれるのかもしれません。
夫婦として縁を結べたということ
お見合い結婚か恋愛結婚かの「結婚前」の過程が、子を授かるということにおいて大きな要因ではないということを確かめたところで、同調査結果を見ていて気になった因果関係に触れてみようと思います。
1992年
お見合い結婚:12.7%
恋愛結婚:84.8%
Windows95の登場
1997年
お見合い結婚:7.7%
恋愛結婚:87.2%
2002年
お見合い結婚:6.2%
恋愛結婚:87.4%
iPhoneの登場
2010年
お見合い結婚:5.3%
恋愛結婚:88.0%
2015年
お見合い結婚:5.3%
恋愛結婚:87.9%
参考:国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」
恋多き年代の若い人たちを見ていると、スマホの普及によって「さぞかし恋愛もやりやすくなっただろう」と感じてしまいます。
私たちの頃は、親が出ないことを祈ってドキドキしながら彼女(彼氏)の「家の固定電話にダイヤルしていた」というのは、アラフィフ世代のお決まりの懐かしい思い出のひとつです。
通信環境の発展と恋愛結婚にはあまり相関関係がなさそうです。
Windows95が発売され、iPhoneが発売された後も恋愛結婚の割合は著しい増加が見られないのです。
スマホが普及しようと「恋愛の本質は昔と今と大きな違いはない」ということなのかもしれません。
と少し気取って表現してみましたが、恋人同士が結びつくというのは通信環境の発展だけで、すぐにどうにかなるような簡単なことではないということなのでしょうね。
まとめ
マイナス思考の時には、なんら関係もなさそうな良くない情報を集めてしまい、さらに状況を悪く感じてしまうということがあります。
恋愛結婚であろうが、お見合い結婚であろうが、結婚までの過程と子どもが授かるかどうかの明確な因果関係は客観的なデータを見る限りに見つけることはできません。
そもそも縁があって結ばれて夫婦となれたという足元のことにしっかりと感謝の気持ちを維持しながら過ごしたいものです。
厚生労働省の「厚生労働白書」のデータに示されている通り、個人の結婚への価値観によるところが大きいとはいえ、50歳時での未婚率が女性、男性ともに増えてきているようです。
直近の2015年のデータだと、女性で約6人に1人、男性で約4人に1人が未婚者ということです。
私たち子なし夫婦も、こうしたデータを元に子どもを授からなかったというネガティブなことだけに囚われることなく、結ばれた「縁」を育てていければと思っています。
1985年
女性:4.3%
男性:3.9%
1990年
女性:4.3%
男性:5.6%
1995年
女性:5.1%
男性:9.0%
2000年
女性:5.8%
男性:12.6%
2005年
女性:7.3%
男性:16.0%
2010年
女性:10.6%
男性:20.1%
2015年
女性:14.1%
男性:23.4%
参考:厚生労働省「H29厚生労働白書」
参考文献
最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。これからも良質な情報をお届けできるよう精進いたします。今後とも「途次大志の備忘録」をお引き立ての程、よろしくお願い致します。 途次大志