最新の宇宙ビジネスを理解する前に宇宙の基本的なことを整理したいよ
高度100km以上を宇宙空間って呼ぶらしいよ
このブログ記事にたどり着いて頂きありがとうございます。
「途次大志の備忘録」の執筆者の途次大志(toji-taishi)です。
宇宙ビジネスの知識があるとニュースをもっと楽しめそうですよね。
「イーロン・マスク氏のスペースX社が…」といったニュースを耳にしても、きっと凄いことなんだろうな?と感じるだけで、本当の凄さや将来への現実味がなかなかピンと来ないものです。
最新の宇宙ビジネスの理解を深めようと一念発起しても、そもそも宇宙開発の基本的なことを理解していないために集まる情報が断片的で、何か頭の中で空回りしていました。
そして、こんなウダウダを過ごしているうちに、時が流れ「あの人も年末年始に宇宙旅行したらしいよ」なんていう時代がやってくるのかもしれません。
宇宙への開発がまさに目の前で進んでいく時代に生まれながら、その経過を現実味を持って味わえないのはもったいない気がして宇宙ビジネス関連の本を5冊入手しました。
私なりに、最新の宇宙ビジネスを理解するための「頭の中の整理棚」ができたように感じ、これからの宇宙開発のニュースが楽しみになりました。
入手した5冊の宇宙ビジネス関連本については文末の参考文献を参照ください。
最新の宇宙ビジネスの理解の前に
あまりよく知らない分野の知識を得るためには、情報を詰め込む前に自分の「頭の中の整理棚」を持っておくと効率よく理解が進むことがあります。
私なりの宇宙ビジネスのニュースを整理するための「頭の中の整理棚」とそもそも宇宙開発の基礎的な情報を整理しました。
宇宙ビジネスの情報収集に何から手をつければ良さそうなのか?そもそも何を理解したかったのか?という整理にも繋がりそうです。
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- 宇宙に関する基礎知識
- 宇宙開発のキーワード
- 宇宙ビジネスの「頭の中の整理棚」
そもそも宇宙開発って?
最新の宇宙ビジネスを理解しようとすると、そもそも「どこから宇宙空間っていうのかな?」という基礎的なことが気になってしまいませんか。気になることがあると、なかなか理解が進まないので、まずはしっかりと押さえておきたいものです。
宇宙開発研究機構JAXAの公式サイトによると、概ね宇宙空間は高度100km以上から始まると考えて良さそうです。ジェット機の高度が10kmなので、さらに10倍の高さの先から宇宙空間が始まるということですね。
映画やアニメでもよく出てくる「大気圏再突入」は高度120kmですが、高度500kmくらいまでは大気圏は続いています。
大気圏より上の高度500kmから宇宙空間というわけではなく、高度100km以上を宇宙空間という認識がされていることに注意が必要でしょう。
というか、私はてっきり大気圏の上から宇宙空間が始まるのだと思っていましたが、どうやら違っていたようです。
いずれにせよ、宇宙開発や宇宙ビジネスを考える時に「高度100km」という数値的な感覚を持っておくと便利そうな気がします。
「今夜はきぼうが目視できる」というニュースで知られる国際宇宙ステーション(ISS)は、約90分で地球を1周する速さで高度400kmを周回し、さらにそのはる上の高度36,000kmに「ひまわり」などの観測衛星などの静止人工衛星が周回しているようです。
アポロ計画で1961年に到達した月は、地球から38万km(380,000km)も離れていることを知ると改めて当時の技術力に驚かされます。
宇宙開発の歩みは?
宇宙空間が大気圏内の高度100kmから始まるというイメージを掴んだところで、これまでの宇宙開発のイメージを掴んでおきたいところです。
書籍「宇宙ビジネス第三の波」のタイトルで示されており、他の書籍、たとえば書籍「宇宙ビジネス入門」でも、現在は「New Space」というキーワードで表現されています。
2000年代以降から現在の「New Space」の対比で「Old Space」という言葉が使われ、1970年代までのアポロ計画を代表するようなアメリカとソ連の宇宙開発競争時代と1980年代以降のスペースシャトルによる宇宙利用が開始された時代の2つの時代が含まれます。
宇宙開発の大きな流れとして、アポロ計画時代、スペースシャトル時代の2つの時代を経て、現在の「New Space」と呼ばれる時代がやってきました。
「New Space」時代の大きな特徴のひとつが「民間企業の参入」ということのようです。
2005年にNASAが「COTS:商業軌道輸送サービス」を打ち出し、日本でも2018年に宇宙活動法が全面施行されたことで、「Old Space」時代では国家が主導で進められてきた宇宙開発を民間企業が進めやすくなったという背景が生まれたようです。
イーロン・マスク氏のスペースX社が、自社製ロケット「ファルコン9」で高度400kmの国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送を受注したのもその一例です。
宇宙ビジネスのための頭の中の整理棚
人工衛星や宇宙空間の基礎的な知識に加え、宇宙開発の歴史と現在の民間企業の参入障壁が減少した「New Space」という背景を踏まえた上で、宇宙ビジネスの理解を深めるための「頭の中の整理棚」を考えてみました。
この宇宙ビジネスを理解するための「整理棚」は、知識の豊富さや関心のある切り口によって異なるでしょうが、私のような者にとっては大きく3つの分類が良さそうです。
書籍によっても表現や分類は異なりますが、思い切って下記の3つに分けた上で、新しい知識を頭に入れていくようにします。
- サービス
- インフラ
- アクセス
宇宙ビジネスに参画する企業や団体は、何かしらのサービスを提供するために挑戦を続けています。
宇宙ビジネスの「サービス」は、宇宙旅行や資源採掘など既に考えられているものから、これから生まれてくる全く新しいものもあるでしょう。
そうしたサービスを宇宙空間で行うためには、宇宙ホテルや人工衛星に加え地上基地や施設も必要なります。つまり「インフラ」があってこそ、サービスを提供できるでしょう。
そのインフラを作り上げるためには、宇宙空間つまり高度100km以上に人や物を運び入れることが必要となり、ロケットや航空機など経済性や安全性に見合った「アクセス」の手段を構築しなければなりません。
この3つの分類のサービス、インフラ、アクセスで、イーロン・マスク氏のスペースX社のビジネスを整理してみましょう。
既に運用されている国際宇宙ステーション(ISS)というインフラが整った状態で、「ファルコン9」というアクセス手段を自社開発し、物資運搬という宇宙輸送サービスという宇宙ビジネスを実現していると言えるでしょう。
さらにスペースX社は「インターネット衛星ネットワーク」というサービスに向けて、通信衛星というインフラを自社で開発し、アクセス手段として2段式大型ロケット「BFR」を開発しています。
Amazonのジョフ・ベゾス氏がキーマンとなるブルー・オリジナル社は「ニュー・シェパード」というアクセス手段による宇宙輸送サービスに加え、将来は地球上でのAmazonのサービスを宇宙空間で行うという計画で挑戦を続けているようです。
「地球の経済圏を宇宙へ」というサービス拡大のためには、100万人規模の宇宙在住者というインフラが整わなければ宇宙ビジネスとしての実現は困難でしょう。
このように「サービス」「インフラ」「アクセス」という切り口で、これから見聞きする情報を「頭の中の整理棚」に分類しておくと最新の宇宙ビジネスの進捗を理解しやすくなるように思います。
まとめ
最新の宇宙ビジネスの進捗を理解し、将来への現実味を感じながら楽しむために宇宙開発の基礎的なことを整理し、私なりの「頭の中の整理棚」を作ってみました。
整理棚とは本当に便利なもので、マーケティングの分野でも製品と市場の関係を整理するための「アンゾフの成長ベクトル」という考え方があります。
企業が扱っている「製品」と対象とする「市場」が、それぞれ「既存」と「新規」に分類した場合、どうのような戦略を選択していけば良いか?ということにヒントを与えてくれます。
イーロン・マスク氏のスペースX社の国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙輸送サービスを例に考えると、既に国家主導で行われていた物資運搬の「既存市場」に、運搬手段を持たない民間企業は「新規製品」であるファルコン9の「新製品開発」に邁進した結果、宇宙ビジネスの糸口を開いたと言えるでしょう。
「新製品開発」に成功し、ファルコン9が「既存製品」に成り得ると、物資運搬サービスという「既存市場」で、実績を重ねることで「市場浸透」に邁進し、さらには充分に「既存製品」に成長したスペースX社の宇宙アクセス技術をもとにインターネット衛星ネットワークという「新規市場」の「市場開拓」への宇宙ビジネスの道が開けてくるのでしょう。
まさにスペースX社の戦略は「理に適った」ビジネス展開と言えます。
このように「頭の中の整理棚」を使って理解を進めると、改めてイーロン・マスク氏の凄さを現実味を持って理解できるように感じます。
参考文献
宇宙ビジネス第三の波-NewSpaceを読み解く- (B&Tブックス)
宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ
図解入門業界研究 最新宇宙ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本
最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。これからも良質な情報をお届けできるよう精進いたします。今後とも「途次大志の備忘録」をお引き立ての程、よろしくお願い致します。 途次大志