子どもがいないことで残された人に迷惑を掛けてしまうこともあるみたいだね
法定相続人とか難しそうだけど子なし夫婦ならではの注意点を知っておきたいね
このブログ記事にたどり着いて頂きありがとうございます。
「途次大志の備忘録」の執筆者で姪たちが可愛い途次大志(toji-taishi)です。
それなりに年齢を重ねると残された人たちに迷惑を掛けないためにも遺産相続のことが気になるものです。
結婚20年以上の子どもがいない私たち夫婦も同様です。
- 子どもがいない夫婦の人
- 子なし夫婦ならではの相続トラブルを知っておきたい人
- 遺産相続が難しそうと感じてる人
子なし夫婦ならではの遺産相続問題
法定相続人とか、遺言書とか、ただでさえ難しそうなのに情報の多くは子どもがいる夫婦を中心に書かれているようです。
子なし夫婦だからこそ起こりうる相続の問題点の一例を少しでもわかりやすくご紹介します。
事例が少ない
この「途次大志の備忘録」の記事でもご紹介した通り、子どもがいない夫婦の割合はざっと6%程度です。
100組のうち6組程度だけが子どもがいない夫婦つまり「子なし夫婦」なので、いろいろな夫婦に関する情報が子どもがいることを中心に書かれているのは仕方のないことかもしれません。
子なし夫婦においても遺産相続は発生しますし、むしろ情報が少ない子なし夫婦だからこその問題を知っておいたほうが良さそうです。
法定相続人
残された兄弟姉妹、甥や姪たちに迷惑を掛けたくないと感じながらも、法律的な難解な言葉が登場する遺産相続について調べるのはなかなか大変なものです。
この記事では「法定相続人」という言葉を使って子なし夫婦ならではの起こりうる遺産相続の行方をご案内します。
法定相続人という言葉、一度は耳にされたことはあるかもしれません。
ここでは「民法で決められている相続人」という概念程度でぜんぜん構いません。
誰が相続人の対象者になり、どれくらいの配分になるかということが民法で「あらかじめ決められている」ということをご存知であれば十分です。
モデルケース「実家の行方」
早速、子なし夫婦を例にした遺産相続のモデルケースを見てみましょう。
図の真ん中が「あなた」と「あなたの夫」です。
あなたの妹夫婦には娘(姪)が、夫の弟夫婦には息子(甥)がそれぞれいますが、あなた方夫婦には子どもがおらず子なし夫婦です。
あなたの父親はすでに他界しあなたと妹が生まれ育った実家に母親が住んでいます。
この思い出のいっぱい詰まった実家を母親とあなた方夫婦が他界した後に最終的に誰が相続するのが適当だと思いますか?
- あなたの妹の娘、つまり姪でしょうか?
- 夫の弟の息子、つまり甥でしょうか?
ふつうから考えるとあなたの妹の娘であり、あなたの両親の直接の孫である姪ですよね。
でも、あなた方夫婦が適切な遺産相続の手順を踏まないと夫の弟の息子である甥が相続するという事態を引き起こしてしまうことになります。
あなたやあなたの両親と血のつながりのない甥にあなたの思い入れが詰まった家を相続させることになりかねません。
縁もゆかりもない家を相続した甥の立場になって考えれば、維持管理するにしろ売却するにしろ正直迷惑な話になってしまうかもしれません。
姪の立場になると「おばあちゃんの家」として愛着のある家が自分に相続されず残念な想いになるでしょう。
いずれにしろ民法が定めている法定相続人のルールに従うだけでは、あなた方夫婦の思いもよらないところで残された人たちに迷惑を掛けてしまう可能性があるということです。
知らないとこうなる
法律任せにしていると、あなたの生まれ育った家がなんの思い入れもない甥(夫の弟の息子)に相続されるという奇妙なことは本当に起こるのでしょうか。
順を追って見ていきますね。
図を見ながらゆっくりと考えていきましょう。
母からの遺産
スタート地点である現在の状況は図の通りです。
- あなた方夫婦には子どもがいない
- あなたの父親はすでに他界
- 夫の両親と弟はすでに他界
- あなたの母親の財産は計6,000万円
- あなたの財産は1,000万円の現金
この状況であなたの最愛の母親が他界してしまいました。
姉妹で相続
あなたの母親の遺産6,000万円を法定相続人である妹とあなたはルールに従って1/2ずつ分けました。
- 妹:3,000万円の現金
- あなた:3,000万円の実家
法律に従って財産分与したのでなんのトラブルも生じません。
妹は現金を、あなたは思い入れの詰まった家を母親から相続しました。
あなたの財産は「1,000万円の現金」と「3,000万円の実家」です。
夫へ相続
実の母親の死をきっかけに「相続のことも夫婦で勉強しないとな」と思っていたところ、すいません、今度はあなたが他界することになりました。
夫は悲しみにくれています。
あなたの財産(計4,000万円)を法定相続人である妹とあなたの夫でルールに従って分けました。
ルールによると1/4をあなたの妹、3/4をあなたの夫だと決められています。
- 妹:1,000万円の現金
- 夫:3,000万円の実家
きっとあなたの妹なら姉であるあなたの1,000万円の現金を相続せずあなたの夫に渡すかもしれません。
仮にあなたの1,000万円の現金を妹からあなたの夫に渡したとしても、この先の流れには影響しません。
法定通りに財産を分与し双方なんの問題もなくあなたの遺産相続は完了しました。
母からあなたに相続された思い出の詰まった実家はあなたの愛する夫の財産になりました。
あなたの実家が徐々に妹の娘である姪の方向(左側)ではなく、甥(夫の弟の息子)の方向(右側)へ移動していっている気がしませんか。
予期せぬ展開
あなたが他界してから夫はずっとあなたのいない寂しさを抱えていました。
あなたの母親が他界した後にあなたと「相続の勉強をしないといけないな」というような気力は夫には残されていません。
あなたはそれほどに愛されていました。
さて、ここでまたすいません、あなたの夫があなたを追うように他界します。
夫の弟はすでに他界していたため、法定相続人は夫の弟の息子、つまり甥だけになります。
ルールに従って、この甥があなたの夫の財産すべてを相続することになります。
ご覧のように、もともとあなたの母親が住んでいた家族の思い出がいっぱい詰まった実家が、一度も実家に訪れたことのない甥が相続する予期せぬ展開になりました。
まとめ
残された甥や姪にとっては結果的に迷惑を掛けることになる展開だったのではないでしょうか。
もしあなた方夫婦が子なし夫婦ではなく子どもがいたらとしたら、あなたの母親が他界し、あなたに続いて夫が他界しても法律のルールに従ってあなたの子どもに実家が無事に相続されたでしょう。
甥や姪になんのわだかまりも生じさせることもありません。
あなた方夫婦に子どもがいないがために甥(夫の弟の子)が実家を相続し、姪(あなたの妹の娘)は「おばあちゃんの家」を相続できないという展開になったとも言えます。
残された人たちに迷惑を掛けないためにも法定相続人や遺言書など遺産相続に関連する知識を、子なし夫婦は知っておいた方が良さそうですね。
最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。これからも良質な情報をお届けできるよう精進いたします。今後とも「途次大志の備忘録」をお引き立ての程、よろしくお願い致します。 途次大志