この記事では、目覚まし時計としては安価でないにも関わらず通販サイトのランキング1位を獲得するほどの人気がある商品「inti4」の広告について整理することで、お客様に必要な情報とはどんなことだろうということを考えてみました。
目覚まし時計の値ごろ感っていくらくらいでしょうか?
もし3万円近い目覚まし時計がよく売れていると聞けば驚きませんか?
ムーンムーン社製「inti4」という目覚まし時計は、定価27,700円(税別)でありながら楽天市場でランキング1位(旧モデル)を獲得している商品です。
商品の性能や機能が市場に認められていることはさておき、いったいどういう広告を行えば目覚まし時計としては決して安いとは思えない商品を販売へとつなげることができるのでしょうか?
今回はムーンムーン社製の目覚まし時計「inti4」の広告を探っていきたいと思います。
こんな人にオススメ
- 他社と比較して高額だけど良品を取り扱っている人
- BtoCマーケティングに興味がある人
- 朝の時間を有効活用したい人
目次をザッと見られただけでもお気づきいただけた通り「inti4」を紹介する自社サイトには多くの情報が盛り込まれていることをご理解いただけるでしょう。その広告の構成や流れを見る前に「inti4」という商品の概要について整理しておきます。
inti(インティ)4
商品の概要
目覚まし時計「inti4」の4P分析
製品 Product | 目覚まし時計「inti4」 ・音ではなく「光」で快適に起きられる ・「光量」が圧倒的に違う ・「目を守る」安心設計 |
価格 Price | 参考価格(税別) ・27,700円 期間限定特別価格(税別) ・24,800円 送料無料 |
流通 Place | ・自社サイト/通販サイト |
販売促進 Promotion | ・テレビなど812以上のメディア媒体 ・自社サイト ・期間限定特別価格 ・全額返金保証(3ヶ月) |
本商品の特長としては、「音」や「振動」で起こす目覚まし時計に対して「光」で起こす目覚まし時計であるという点です。
高価な目覚まし時計
光で起こす目覚まし時計という大きな特長(高い付加価値)があるとはいえ、音や振動で目覚めさせる一般的な目覚まし時計と比べるとかなり高額な商品です。
スマホを目覚まし時計として利用している人も多いと思われる中で、そもそも目覚まし時計を新たに購入しようという人がどれくらいいるのだろう?とも思ってしまいます。
ただそんな予想を超えてこの「inti4」という商品は通販サイトでランキング1位を取っているという事実があります。
広告の構成
自社サイトでどのように「inti4」が広告されているのか?を整理してみます。
PRの流れ
1.キャッチフレーズ
朝の目覚めが変わる!というキャッチフレーズを紹介
2.メディア実績
テレビ・雑誌など812媒体(2018年5月23日現在)で紹介された実績案内
3.使用例ムービー
実際に使用する際のイメージを提供
4.使用前後の感想
使用前と使用後の感想を3つのケースで案内
5.通販ランキング実績
目覚ましランキング第1位(旧モデル)を継続獲得の説明
6.メインとなる効用
本商品のメインの特長である「光」で目覚めることでの効用を説明
7.効用のメカニズム
起きるのがラクになるメカニズムの説明
8.二次的な効用
朝に光を浴びることで期待できる二次的な効用を紹介
9.他製品との比較
音や振動で起きる他の目覚まし時計と比較したメリットを紹介
10.他の方法との比較
他の目覚まし時計でもなく、自動カーテン、部屋の照明など他の目覚まし方法と比較したメリットの紹介
11.太陽光との比較
紫外線がほとんど出さず高い光量であることのメリットを紹介
12.商品名の由来
商品名である「inti(インティ)」の由来を紹介
13.代表取締役の紹介
開発総責任者として代表取締役の商品への想いを紹介
14.会社の紹介
会社としての想いを紹介
15.性能の紹介
高品質LEDにより日の出のように徐々に明るくなる特長を紹介
16.機能を紹介
本当は使ってほしくない機能を紹介
17.デザインの紹介
デザイナーとデザインへの想いを紹介
18.便利な機能を紹介
スマホのアプリで操作可能であることを紹介
19.活用例の紹介
シチュエーションに応じた活用例を紹介
20.同梱物の紹介
壁に掛けるための同梱品の紹介
21.専門家の意見
多くの著作歴をもつ二人の専門家の意見を紹介
22.朝時間の活用
著名人が朝の時間を有効活用している例を紹介
23.商品のおさらい
あらためて商品のポイントを紹介
24.Q&Aの紹介
商品に関する質問と回答を紹介
25.特典の紹介
5つの特典として送料無料などの特典を紹介
26.商品の特長
差別化ポイント、性能、安心の3つのポイントを紹介
27.価格の紹介
価格の紹介と高額である2つの理由を説明
28.全額返金保証制度の説明
3ヶ月使用後満足しない場合は全額返金の紹介
29.特別価格の紹介
期間限定での特別価格の紹介
30.注意点の説明
個人により効果を実感するのに時間が異なることの説明
31.スタッフの紹介
睡眠改善インストラクターとしてスタッフの紹介
32.使用者の感想
使用者の感想を動画、手紙、サイトへの書き込みにより紹介
33.代表者の挨拶
再度、開発総責任者であり代表者の商品への想いを紹介
34.特別価格の紹介
再度、期間限定での特別価格の紹介
たくさんの情報提供
「inti4」を紹介している自社サイトの1ページには上記のようにたくさんの情報が詰め込まれています。
あまりにも多いので上記の1から34の項目を分類しておきましょう。
A.商品・効用の情報
21項目
1.キャッチフレーズ、3.使用例ムービーなど
該当項目番号:1,3,4,6,7,8,9,10,11,12,15,16,17,18,19,20,22,23,25,26,30,
B.安心感を与える情報
10項目
2.メディア実績、5.通販ランキング実績など
該当項目番号:2,5,13,14,21,24,28,31,32,33
C.価格に関する情報
3項目
27.価格の紹介、29.特別価格の紹介など
該当項目番号:27,29,34
考察
この商品「inti4」の強み、弱み、機会、脅威というSWOT分析の観点を踏まえて、自社サイトの広告を見直すとこの広告の優れた点が浮かび上がってくるように思えます。
SWOT分析
強み Strengths | 高付加価値 ・光で起こす目覚まし時計 ・光量の技術 ・安心設計 etc. |
弱み Weaknesses | ・ブランド力 ・高価格 |
機会 Opportunities | ・メディア実績 ・通販ランキング実績 |
脅威 Threats | ・他の目覚まし時計(音、振動) ・他の方法による起床方法(照明、自動カーテン) |
弱みと脅威に対応
自社サイトの広告において、弱みや脅威と思われる点に関してしっかりと対応していることがわかります。
あえてこれらの点に踏み込むところに会社としての姿勢と何より商品への自信が感じられます。
ブランド力
消費者はどうしても馴染みのあるものを選びがちです。
第三者であるメディアや通販での注目度を明確に示すことで消費者はブランド力に似た安心感を受け取るでしょう。【参考:2.メディア実績、5.通販ランキング実績】
これらの情報を比較的前半で広告として紹介していることがうかがえます。
高価格
消費者が本商品の性能が優れているということが理解できてもやはり価格というのも最終的な意思決定での大きな要素であることは間違いありません。【参考:27.価格の紹介】
なぜ価格が高いのか?という消費者の疑問を想定して2つの理由を広告の中で説明しています。
この結果、仮に類似商品が登場したとしても、むしろ本商品の差別化ポイントとして価格が高いことに価値があることが伝わります。
他の目覚まし時計
脅威として従来の「音」や「振動」で起こす目覚まし時計で十分ではないか、スマホでも目覚まし時計として使えるという消費者の認識を想定し、なぜ「光」で目覚めることが大切なのかという本商品の核心部分の説明を広告内で行っています。【参考:9.他製品との比較】
この説明により、従来品との差別化をしっかりと説明されています。
他の方法との比較
仮に消費者が光で目覚めることの大切さが理解した場合、朝になれば自動でカーテンが開くようにしておく、もしくは部屋の照明を付けるなどの他の方法によって同等の効果が得られるのではないかという疑問に対して対応をしています。【参考:10.他の方法との比較】
評判を踏まえた商品特長
商品の特長、期待される効用などをひとつひとつ説明がされています。
【参考:32.使用者の感想】
さらに使用者の意見をふんだんに紹介しており、動画、手紙、書き込みなどさまざまな方法で紹介されています。
まとめ
考察として記載した内容も、この「inti4」という自社サイトでの広告の優れた点のほんの一部です。
以前、最近の情報は「何の情報」ということに加え「誰からの情報」ということも意味があることを学びました。【参考:テレビ番組の構成に学ぶ:ブログ記事の質を向上させるヒント】
本商品の広告では、開発総責任者である代表取締役を含め、デザイン担当者、専門家、睡眠改善インストラクター等のスタッフ、さらには使用者までもが顔写真入りで登場しています。
こういった点に、商品への会社の想いと自信を感じます。
今回の「inti4」の広告を私なりに整理することで、お客様が必要としそうな疑問や懸念を先回りして広告として説明することの素晴らしさを感じました。
身近なデキごと、モノごとを知ることで、造り手の凄さを垣間見ることができました。
最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。これからも良質な情報をお届けできるよう精進いたします。今後とも「途次大志の備忘録」をお引き立ての程、よろしくお願い致します。 途次大志